【 願い事 】沖田&ヒロイン1


「願い事?」


目の前で、ふざけた熊の絵のアイマスク付け、縁側で横になっている、私の上司。
沖田総吾が、唐突に質問してきた。

「何よ、いきなり。」
「いいから、答えてくだせェ。上司命令でサァ。」

こんな所で職権乱用してんじゃねぇーよ・・・イカサマ上司。
それにしても「願い事」かぁ。
私は基本的には神とかそう言った類は信用してないからなぁ。
自分を助けるのも、人を助けるのも、自分次第。
神にすがる余裕なんてない。
本当に神がいるなら・・・人が無惨な死に方なんてしない。

「願い事かぁ・・・ないなぁ。」
「・・・。」

人に質問しておいて、コイツ・・・。
何、無視を決め込んでいやがんだ。
しばらく沈黙が流れた。
心地よい風が、私の髪をフワリと踊らせた。

「沖田?」

声をかけても身動き一つしない。
でも、その息づかいは、決して寝てはいない。
まったく。
質問して・・何を考え込んでるんだか。
ふと、空を見上げれば、見事な快晴。
ふふふ。
そんな空を見て、思わず笑みを浮かんできた。
何かよく分からないが、嬉しくなった。
私は、ふとまだ隣で寝たふりをする上司を見つめた。

「お団子・・・。」
「?」
「お団子食べたい。」

ポツリと呟くと、沖田は体を起こし上げた。

「ふわぁぁぁ・・・よく寝たぜぃ。」
「・・・。」

大きく伸びをして、アイマスクを自分の懐に入れると、沖田は立ち上がった。
一歩前へと進み出ると、お腹をさすり始めた。


なんだ?


「腹が減りやした。ちょっと付き合って下せェ。」
「それは」
「上司命令でさァ。」

私の言葉に被せるように、沖田は自分の言葉を言いはなった。
本当に、素直になれないと言うか・・・何と言うか・・・。
可愛くない奴。

「早く行きまさァ。」

グイと私の腕を取ると、沖田はそのまま外へと歩き出した。


願い事。


確かに叶える神はいない。

でも・・・。



神の変わりに、貴方が側にて、私の願いを叶えてくれるんでしょう?


ねぇ?