【 願い事 】陸遜
「願いはなんですか?」
そう、僕が君に問えば、君は小さな花のような笑みで答えてくれる。
「世の中が平和になる事。」
群雄割拠を極める戦乱の中。
幾人もの勇将・猛将と言われる武人が、命を落として行った。
志を半ばに・・・。
どれだけ悔しい思いで、亡くなったのか。
考えればキリがありません。
でも、多くの命が奪われている中で、貴方が生きてくれてる今が、一番幸せです。
あなたは、僕にも同じ事を聞いて来ましたね。
「陸遜の願いは?」
私の願いは、一つです。
世の平和でも。
戦乱の終結でも。
民の安定な暮らしでも。
そんな事ではありません。
ただ、あなたがずっと生きててくれればいい。
それだけなんです。
あなたが生きてる同じ時代・空気・世界。
その場所にいると言う僕の幸福をどうぞ、奪わないで下さい。
あなたが好きだから。
いつか戦乱が終わったら、聞いてくれるでしょうか?
僕の心にある、溢れるばかりのあなたへの愛情を。
受け止めてくれるでしょうか?
だから、一言だけ言います。
「生きて下さる事です。」
あなたは不思議そうな顔を僕に向けていました。
でも、僕はそんなあなたの一つ一つの表情をも見逃したくない。
全てが・・・好き。
生きるって言うのは、自分の為だけじゃない。
自分を愛してくれている人の為でもあるんです。
だから、お願いです。
簡単に命を捨てないでください。
あなたがいなくなれば・・・いくら平和な世の中になっても
何の意味もありませんから。