タイトル 「 蘭を離してもらいましょうか 」
※画像の上にマウスをのせると画像が若干変わります。
「蘭・・・。」
目の前の蘭は、男に暴力を振るわれたのだろう。
ぐったりとその体を犯人にもたれさせていた。
冷静に・・・。
ポーカーフェイスに・・・。
そう心に念じても、蘭を見てしまうと怒りがこみ上げて
冷静さを欠いてしまう。
だが、ここで焦っては蘭をより危険な状態にしてしまう。
快斗は、ゆっくりとトランプ銃を犯人に向けて構えた。
「なんだ、そんな銃で何が出来るって言うんだ?」
あざ笑うかのように犯人の口もとが歪んだ。
犯人の銃口が蘭のこめかみから、自分へ向けられた。
よし。
快斗は小さく心で呟くと同時に、横へと飛び退いた。
その瞬間に犯人も発砲する。
何発も撃てば、脇に抱えている蘭が邪魔になる。
だが失敗すれば蘭に再び銃口が向けられてしまう。
賭けだ。
わざと犯人の足下へとトランプを飛ばしていく。
「邪魔だ!」
勝った。
快斗は確信に変えて、今度は口もとをあげた。
蘭さえ離せばこちらのもの。
銃口を向けたまま、ピタリと止まった。
「そこのお嬢さんを、盗ませて頂きました。」
「な、なんだと!?」
パチンと指を鳴らせば、犯人の周りに煙幕。
それと同時に蘭を自分の手元へとたぐり寄せた。
意識がはっきりしない蘭を安心させるように、一度だけ快斗の顔を覗かせる。
「蘭…大丈夫か?」
「快斗…君…。」
良かった。
蘭の力のない笑顔に、安堵の表情を浮かべた。
もう、容赦はしない。
蘭を安全な物陰に隠して、再び犯人の前へと進み出た。
もう怪盗キッドに、迷いはない。
勝利を確信した、その笑み。
蘭に怪我させた償い、受けて貰いましょう。
BACK HOME TOP
マスター 冬 牙