『最
遊
記 最終話 〜 FOR REAL 〜』
三蔵「
・・・覚悟、出来てるな?」
その言葉にはキョトンとする。
が、直後三蔵の不敵な笑みを見て心底悪寒が走る。
スパァン!!!!!!
特大級のハリセンの音。
「!?」
初めて叩かれるハリセン。
紅該児は慌ててに近付いた。
は頭をおさえながら三蔵を見る。
三蔵「
勝手な行動するなと、言ってるだろぉーが!!!この馬鹿女!!!」
「
なっ!?」
突然の感動の再会もどこへやら、三蔵のマジ切れに驚く。
それと同時に、怒りもこみ上げて来る。
「
別に、好きで別行動取った訳じゃないわよ!!!」
そう言うと三蔵の腹の一撃いれる。
その瞬間・・・妖怪だけでなく、八戒、悟浄、悟空、、紅該児、八百鼡と。
その場にいた全員が硬直する。
それもそのはずだ。
あの三蔵を殴るだけでなく、三蔵が女に吹っ飛ばされる場面など、誰が想像したであろう
か。
三蔵「ぺっ!」
口の中に溜まった血を吐き捨てる、三蔵。
それを見下ろす。
三蔵「
上等だ、この馬鹿女!!」
三蔵は立ち上がりに向かう。
さすがに女には手を挙げないと思っていた三蔵のいきなりの行動。
も咄嗟に構える。
八戒「三蔵!!」
悟空「三蔵!!!」
全員がから視線を外す。
誰も三蔵がを殴る所なんか見たくないのだ。
しかし・・・いくらたってもの倒れる音が入って来ない。
全員が目を開けてと三蔵を見つめる。
全員「!!」
その場にいた全員が、ポカンと口を開けた。
いや、でさえ驚いたままの表情だった。
三蔵はを殴り付ける変わりに
キツク・・・
キツク・・・
その腕にを抱きしめていた。
その場の時間が止まる。
「三・・・蔵・・・?」
三蔵はを抱きしめたまま、動こうとはしなかった。
微かに震えている三蔵。
はゆっくりと三蔵の背に手を回した。
そして、母親のように三蔵の背中を2・3回優しく叩く。
「三蔵。」
しっかりとした口調で三蔵の名を口にする。
三蔵「
・・・やっと・・・会えた・・・。」
聞き取れない程の小さな呟き。
しかし、の耳にはしっかりと聞こえていた。
の顔に笑顔が広がる。
そして、はゆっくりと答える。
「ただいま、三蔵。」
三蔵「!!」
三蔵は再びを抱く腕に力を込める。
そんないいムードの二人。
知らずに近付いた八戒によってと三蔵は引き剥がされる。
八戒「いい所申し訳ないんですが、まず妖怪さんご一行を片づけてからにしませんか?」
のほほんとした笑顔の八戒。
三蔵は無理にはがされた八戒を一睨みする。
八戒はいつも以上にドス黒いオーラと共に満面の笑みを浮かべる。
八戒「、お帰りなさい。」
「八戒、ただいま。ごめんね、側を離れて。もう離れないからね。」
八戒「はい。」
満足気に微笑む八戒。
その言葉に三蔵は怒りを露わにする。
「ちゃん!!傷見せて。すぐに直すから!!」
はを見て驚く。
今までみていたの表情で無いことに。
「・・・ちゃん・・・?」
「(ニカッ!)」
その笑顔にナタクとダブるの記憶。
はすぐにの傷口に手を添えて気孔を始める。
とから離れるように、妖怪を戦い始める三蔵と八戒。
八戒「三蔵、は貴方のものではないのですからね。」
三蔵「フン!てめぇのもんでもないだろ。」
八戒「僕はと約束したんですよ。僕の側から離れないって。」
三蔵「しるか、そんな事!!」
八戒と三蔵の華麗なコンビプレーで妖怪の死骸の山が出来上がる。
紅該児はただ呆然と一行の戦いを見守っていた。
八百鼡がすぐに紅該児に近付く。
八百鼡「紅該児様。」
紅該児「八百鼡か。すまんな、三蔵一行を連れて来てもらって。」
八百鼡「いいえ。でも、よろしかったのですか?と一緒に帰るはずだったのではないのですか?」
紅該児はのにこやかな表情を見て、目元を和ませる。
心から嬉しそうなそんなの表情。
けっして吠登城で見せなかった、笑み。
紅該児「を力尽くで奪おうと思えばいつでも出来る。だが、俺はの意思でこちらに来て欲しいのだ。
俺はあいつの体や攻撃力が欲しいのではない。心が欲しいのだ・・・我が儘・・・だろうか?」
八百鼡「いいえ、きっとその紅該児様のお心がの伝わる日が来ると思います。」
紅該児「・・・そうか。」
八百鼡と紅該児は無惨にも殺された妖怪の死骸の山を見て苦笑する。
あれ程いた妖怪もあっと言う間に全て倒されてしまった。
しかし、三蔵と八戒のいがみあいは続いている。
紅該児は目を瞑った。
ここがの居場所だ・・・と。
「もう、二人して何喧嘩してんの!!」
八戒と三蔵に入り込む。
そんなを三蔵は腕の中に捕らえる。
「うわ!」
三蔵「
こいつは俺のモノだ。勝手に触るな。」
そう言われて、八戒は三蔵の腕からを取り返す。
「うわ!」
八戒「
あれぇ?坊主は女に興味はなかったのではないのですか?」
そんな言い争いを続ける三蔵と八戒。
悟浄と悟空は唖然とそれを見ていた。
悟空「なんか、三蔵人が変わってない?」
悟浄「んー・・・相当我慢してたんだろ?」
「うんうん、良いことだね♪」
紅該児と八百鼡はそんな一行を見て背を向ける。
紅該児「行くぞ、八百鼡。」
八百鼡「に別れを告げなくていいのですか?」
紅該児「別れではないからな。一時、三蔵一行に預けるだけだ。」
その答えにニッコリ笑みを浮かべる八百鼡。
紅該児の顔が赤いのをいつまでも後ろから見つめていた。
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阿弥陀「おいおい、これでいいのか?」
菩薩「いいんじゃねぇーの?金蝉だってすぐにくっついたらつまらねぇだろ?」
阿弥陀「そう言えば・・・天蓬と金蝉の争奪戦もすごかったな。」
を間に静かな口喧嘩を始める金蝉と天蓬の姿を思いだし、吹き出す二人。
そんな横で二郎神が池を見つめながら、ホッとしているのには誰も知らない。
菩薩「まだ、何も終わっていないさ。」
阿弥陀「ああ、その通り。あいつらの旅はまだ先が長いって事だ。」
菩薩「そう、『人生』っつうー長い旅がな。」
終わり・・・か!?
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後書き 〜 言い訳 〜
こんにちは、またはこんばんは吹 雪 冬 牙 です。
はい、これでいちよう桃源郷編は終了です。え?!何も答えが出ていない!?
すみません。そうなんです。阿弥陀と菩薩が言う通り「まだ何も終わってはいない。」ですよ。
てな訳で、この続きがいつかまた書けたら言いなぁと思ってます。
本当に長い間、お付き合い頂きまして有り難うございました。
誤字・脱字に関しましては、大変お見苦しい事も多々あったと思います。
そんな所もすべてひっくるめて深くお詫び申し上げます。
また、何かの機会にみなさんと出逢える事を楽しみにしています。
こちらの作品は、昔、メールのみで連載していたリクエスト型ドリーム小説になります。
ので、メール購読されていた方はきっと、冬 牙?と思うかもしれませんね。
大丈夫です。メールで公開していた 聖 龍 星 と吹 雪 冬 牙 は同一人物ですので、ご安心を。
龍 星 を知ってらっしゃる方は、またお会いできてとても嬉しいです。
メール配信してた小説全ては掲載しませんので、ご安心を♪
ここまで読んで下さいました、様・様
心より深くお礼申し上げます。
文章表現・誤字脱字などございましたら
深くお詫び申し上げます。
執筆日 2002.01
更新 2007.12.24
再掲載 2010.10.28
制作/吹 雪 冬 牙
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