タイトル 「 やめてっ!! 」
SS
「蘭に手を出した事、後悔してもらう。」
キッドのその言葉に、蘭は思わずキッドの腕に抱きついた。
「やめてっ!!キッド!!!」
「・・・離せよ、蘭。コイツだけは許せねぇ・・・!!」
「!?」
再び銃口を構えるキッド。
自分の所為で、キッドの信条を破らせるわけにはいかない。
お願い・・・わかって!!
蘭は静かに「キッド。」と呼んだ。
その声に、キッドは我に返ったように、目を見開いた。
「・・・蘭。」
フッと笑みを浮かべると、銃口を少しだけ下げた。
それが、キッドの気持ちが変わった事を表していた。
「蘭、ゆっくり下がって。」
「え?」
キッドは口元を動かさずに、静かに呟いた。
キッドに言われるままに、蘭は少しづつ後ろへと後ずさった。
カチン・・・と音がすると同時に、後ろの窓が開いた。
「なんだと!?」
戦意を喪失していた男が悔しそうにキッドを見上げた。
キッドは、もう一度銃口を男へと向けた。
「お嬢さんに感謝するんですね。」
月明かりを背に凄むキッドのその表情は
今までのキッドとは似ても似つかないものだった。
キッドの唯一の弱点。
だが、キッドの唯一の地雷。
それが、愛おしい・・・一人の女性。
次へつづく
BACK HOME TOP
マスター 冬牙