タイトル 「 探偵君。 」
SS
コナンに続いて、警察が駆け込んで来た。
中には蘭の父親の姿もあった。
これもこれでフィナーレだな。
すでにガックリと膝を落としてしまっている男。
全ての現況はこの男なのかもしれないが・・・
だが、それ以前に気にくわない事があった。
数歩、歩くと同時に、コナンが時計型麻酔銃を構えて来た。
まったく。
「真打ちは遅れて登場するのはセオリーだが、今回は頂けない。」
「おめぇに言われる筋合いはねぇよ。」
「それもそうだな。じゃー、工藤新一に伝えてもらおうか。」
工藤新一の名前が出た瞬間に、コナンの体に微かに
緊張が走る。
それは蘭も同じだった。
二人の反応に、キッドはほんの刹那な時間、悲しみ満ちた笑みを
浮かべた。
幻かのような・・・そんな笑みだったが。
「お前のお宝。近く頂きに参上するぜ。
盗られたくなければ、その時は、全力で阻止するんだな。」
「望む所だ。誰にも渡さねぇよ。」
「探偵君、一つ良い事を教えてあげよう。」
「?」
ニィっと意地悪い笑みを浮かべた、特有のキッドの顔。
「俺が本当に、何の用意もしないで、そんな予告してると思うなよ?
仕込みは上場ってな。」
「な!?」
キッドはマントを翻して、蘭の前を通り過ぎて行った。
そんなキッドを蘭は見送る事しか出来ない。
「キッド・・・。」
小さな声で蘭が囁いた。
そんな小さな声ですら、キッドは反応を示した。
手を差し伸べ、真剣な表情で蘭の事を見つめた。
「俺と一緒に来るか?」
次へつづく
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マスター 冬牙