タイトル 「 夢一夜 」



蘭ちゃんには工藤が
俺には青子が

共に「大切」な想い人はいると言うのに

どうしてこんなに惹かれあってしまうのだろう?


もっと・・・
もっと前に出会っていれば・・・


たとえばの話しほど、生産性のないものはないけれど
でも、蘭ちゃんに関してだけは考えてしまう。


こんなに好きなのに。
好きになってはいけない程、気持ちは止まらなくて
この腕にある温もりを
手放したくなくて。

好きで
好きで
好きで

狂おしい程、好きなんだと想う。

蘭だけはっ・・・



蘭だけは、例え何があっても
何を犠牲にしても
手放す事なんか出来やしない。


その強い思いが、さらに蘭を強く抱きしめた。


『 君がため 惜しからざりし命さへ 
長くもがなと 思ひけるかな・・・』

蘭が俺事を想ってくれるなら、この命だって惜しくないと思ってた。でも、いざ蘭が想ってくれると少しでも永く、この幸せの中で生きたいと想うようになったんだよ。

「キッド?」

目に沢山の真珠を溜めて、不思議そうな顔で俺を見つめる
至高の俺の宝石。



「・・・なんでもない。」


今はだた
この月下の淡い時間が「永遠」であって欲しいと、
願うばかり。



つづき



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マスター 冬牙