愛し愛されてこの命は 芽吹いて咲く
〜 後日談 〜
「もう・・・勘弁しておくれよ・・・蔵馬。」
「寝かせないのではなかったのか?これくらいでは、俺は足らないぞ。」
ギシッ・・・とベットのきしむ音。
何度も何度もぼたんを抱いた。
このまま壊れてしまうのではないかと思う程。
「あいつは、優しく抱くか?俺と比べてるのか?」
「蔵・・・馬も・・・妖狐・・・蔵・・・馬も、蔵馬じゃないさ・・・、比べらんない。」
「比べてみろよ、俺と人間の俺と、どちらがお前を楽しませられるか。」
人間の蔵馬の時では到底、考えられないくらいに、激しく抱き続ける。
気絶すれば、すぐに起こす。
俺を見て。
俺を感じてほしくて。
人間の蔵馬よりも、俺を深く求めるように。
その体に刻印するように。
殺してしまえば、俺だけのものになる。
誰の目にもとまらない。
誰の目にも触れさせない。
それは人間の時と俺と同じ考え。
だが・・・妖狐の俺は・・・
人間の蔵馬ですら、手の届かない所につれて行きたい。
人間の蔵馬では叶わない場所へ。
ぼたんの愛は、俺だけのもの。
自分が自分に嫉妬すると言うのも滑稽だが・・・
同じ自分だとしても
ぼたんの愛情を二分してるのが、嫌だ。
殺してしまいたい程、愛してる。
それが、俺の最初で最後の
サイコーの愛情の表現だと。
「ぼたん・・・。」
「蔵馬・・・蔵馬・・・。」
彷徨ってるぼたんの手を横目で見つめ
俺はそれに絡める事はしない。
「ぼたん。」
一言。
俺を見ろと、ジッと見据えるように、ぼたんを見つめる。
ぼたんの視線と交わる。
ぼたんの瞳には、妖狐の俺しか写していない。
側にいる事を確信するように、ぼたんは優しい・・・だがどことなく妖艶な笑みを
浮かべる。
ドクン・・・ドクン・・・
妖怪を殺す前に似たような、高揚感が体の全てを支配した。
ス・・・っとぼたんの首に手をあてた。
自分が何をしようとしてるのか、わかってるかのように。
そんな全てを丸ごと包み込むような、ぼたんの嬉しそうな笑みと・・・とろけるような
言葉。
「蔵馬・・・愛してる。」
「・・・。」
ドクン
ドクン
ドクン
何百・何千の言葉よりも
ただ一つ
お前の首筋に刻印を押す。
赤い華を、俺の所有の証として
雪のように白い柔肌に
一つだけの赤薔薇を・・・。
終わり
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