3 〜 悩 み 〜 』




とある街の宿。



むぅ・・・。



にしては珍しく、眉間に皺をよせて考え込んでいた。
そんな表情を心配した悟空が近付く

悟空「どうした??」

悟空が声をかけてもはいっこうに気付く気配がない。
の視線に先には八戒・・三蔵の三人がいる。
ますます分からない悟空はと同じ視線になって同じ方向を見つめる。
一体は何を見てうなっているのだろうか?
まったく相手にされないつまらなさからかもしれないが・・・。
ピッタリとの顔の横に自分の顔をおく。
ようやく人の気配に気付いたが咄嗟に大声をあげる

うわあぁぁぁ!

その素っ頓狂な声にと八戒は視線を移す。
しかし脇に悟空はいたことによってまたいつものことかと視線を元に戻してしまう。
の顔は真っ赤だ。

「な、な、な、何!?悟空?」
悟空「何考えてたの?」

悟空にそう聞かれては再度を見つめる。
いつまでもの答えが返ってこないのを不審がる悟空。













































ちゃんって・・・」
悟空「が?」
「どっちが好きなのかな?」



















その台詞にさすがの悟空も思考が止まる。
は良く突拍子も無いことを考えている事が多い。
しかしそれは決してには向けられなかったのである。
は真剣に三蔵と八戒を交互に見る。
そんな視線に気付いたのか三蔵はに何か耳打ちする。
そしての事を、見る。
別に陰口をきいているわけでもないのに何故か悟空が慌てて視線をそらす。
しかしは視線をそらす事なくを見つめている。
は何か2人に言葉をかけると、席を立っての前に来た。

「どうしたの?ちゃん。」
「え・・・あのね、」

が何かを言おうとした所に悟空が必死になって手で口を塞ぐ。
は驚いて悟空を見た。
そんな二人の様子を見て、は何を思いついたのか自分のストールをにかける。
疑問まじりにの顔を見上げる

「外は結構寒いから、風引かないようにね。悟空、あんまり遅くなったら・・・わかってるよね?」

の微笑みに八戒と重なる悟空は冷や汗を垂らしながら頷く。

「三蔵さんには私から言っておくから。行っておいで。」

それだけ言うとはまた元いた席に戻った。

「別に遊びに行きたかったわけじゃないのに」
悟空「まぁいいじゃん!丁度いいから散歩でもするか!!」

とかいいながら悟空は大きな欠伸を一つする。
はクスリと微笑ながら席を立った。

八戒「どこかに行かれるんですか?」
悟空「うん!食後の散歩だよ。すぐに戻ってくるからさ!」
八戒「あまり遅くならないようにしてくださいね。明日はもう出発ですから。」

それだけ言うと八戒は笑みで二人を見送った。

三蔵「おい。」
「・・・はい。」

は少しビクつきながら三蔵の顔を見つめた。
三蔵もその表情に気付いたのか、視線を外す。

三蔵「遅くなるな。」
「はい。」

はニッコリと微笑むともう一度の事を見つめた。
に手を振っている。
そんな3人から送り出されて、と悟空は外に出た。
二人で嬉しそうに手を繋ぎながら宿を出ていく姿をが窓から見送る。

「・・・あれで隠してるつもりかな?」

独り言のように呟くの顔は、心なしか穏やかなものになっていた。
しばらく夜店見物に花を咲かせていた二人は、人気のない所で腰を落ち着けた。
やはりは考え込んだままである。

悟空「そんなに気になるなら、聞いて見たらどうだ?ならになんでも話すだろ?」

そんな悟空の一言では辛そうな表情をした。
それを見て悟空は一瞬息を飲んだ。
いつものように仲の良い二人からは想像も出来ない。
はふと月を見上げた。
つられて悟空も月を見る。

ちゃんは、自分の本当の心情は話さないんだ。・・・と言うよりも話せないって言った方が正解かな?」
悟空「話せない?」
「うん。そんな不器用な性格だし・・・頼りにしていた人達から裏切られた事もあってね。色々と・・・さ。
それから話さなくなったんだ。」

の表情は今にも泣きそうなくらいだった。
悟空はそんなが、不謹慎にも美しいと思ってしまった。
そして、そっと月を見上げるの体をそっと抱きしめた。
いつもはの方から体を寄せない限り抱きしめてくれない悟空が自分から抱きしめてく
れた事に驚きを隠せない。
悟空は今まで、色恋沙汰とは無縁の場所で育った為か、こう言った事には本当に弱い。













・・・とは言え、も同じく始めての事だからお互い様なのだが・・・。















は悟空を見つめた。
悟空は照れたように笑った。

悟空「なんか、があの月にさらわれるような気がした。」

正直に話す悟空には笑みを浮かべる。
しばらくお互いの温もりを確かめあう。
このまま時間が止まって欲しいと、二人が思う。
しかし、どう相手に伝えて良いのか分からずにただ黙って時間だけが過ぎていく。

悟空「なあ、なんでいきなりの気持ちを疑問に思ったんだ?」
「え?だって、三蔵さんも八戒さんもちゃん好きなのは分かるけどさ、肝心のちゃんがわからないんだもん。」

そう言ってはシュンと下を向く。
悟空はそんなをなだめるかのように何度も髪を撫でる。

「忘れてはいけないかもしれないけど・・・でも、先に進んで欲しいんだ。いつまで立ち止まっていても
・・・つらいだけだし。ちゃんには人よりも幸せになる権利があるはずなんだよ。」

そう力説するがことの他愛しい。
悟空はを抱きしめる腕に少し力を込めた。

悟空「うーん、俺としては八戒だと思うな。」

どう声をかけていいかわからずに、取りあえず自分の意見を言うと、もにっこりと笑う。

「私もそう思う。八戒さんは戒に似てるから・・・だから辛いだろうけど、好みかな。」

そう優しく微笑む。
悟空は寂しさを含んだの笑顔はこれ以上見ていたくなかった。
の頭を何度か撫でると、悟空は勢い良く立ち上がった。
そんな悟空の行動に今度はが目を見張る番だった。
悟空はに手を差し伸べる。

悟空「今日さ、俺と同じ部屋にするよ!そんで俺から聞いてみる。どっちか好きか。」

悟空の快い申し出には少し不安になる。
しかし悟空にしては何か策があるのだろうか・・・?
は悟空の手に自分の手を添える。

悟空「だから、は三蔵と八戒の二人の気持ち聞いてみてよ。な?」
「う・・・うん・・・。大丈夫・・?」

食べ物以外にこんなに一生懸命になる悟空は見た事がなかったは思わず不安を口に出
してしまう。
悟空は軽くをこづいてから、くったくのない笑顔でを見る。
と悟空は少ししてから宿に戻ってきた。
の心情を聞く計画を立てていたのだ。
さっそく宿に戻ると、部屋割の話しを持ち出した。
しかし、八戒とはお互い見合わせてからニッコリと二人を見た。

八戒「今日は3部屋取れたので二人一組なんですよ。」

悟空は手を鳴らす。
いつものように悟浄がいてはまともな話しなど出来ない。
はそんな二人の笑顔を見つめる。

「ご心配なく。悟空は・・・」
悟空「俺、今日はと一緒がいい!!」
「へ?」

の台詞を最後まで聞く事なく、悟空はに体をすりよせている。
まるで猫である。
その言葉に喜ぶ者と不機嫌になる者と驚く者と表情の読みとれないもの多種多様であった
が、それぞれの性格が一瞬にして出されたような一言だった。
部屋の中が一瞬固まる。

悟空「駄目?」

悟空はうるうると大きな瞳での顔をのぞき込んだ。
そんな顔されれば、この世の誰でもOKしてしまうだろう。

「いや・・・嫌じゃないけど・・・」

そう言いながらはちらりと八戒の事を見る。
その台詞を聞いて悟空はの腰に嬉しそうに飛びつく。

























スパーーーーーーン!!!












それに間髪いれずに三蔵のハリセンが大きな音を出す。
悟空は頭を抑えて、涙を流すまいとする。
いつも以上の早業にも唖然。
おそらく最初の「一緒に・・・」の段階で用意してあったのだろう。
あまりに唐突過ぎて、ハリセンを使うタイミングがずれたようである。
それでも悟空は三蔵を一睨みする。

悟空「いいじゃねぇか!たまにはと話したいんだよ!!」

その言葉で三蔵と八戒、そしてが真意を八割方読む。
は仕方なく、一生懸命の悟空の作戦に乗ってやる事にする。
潔いの返事に、悟空は終始嬉しそう。
は八戒と三蔵をちらりと見る。
悟空との予定では3人部屋2つの予定だった為に、三蔵と八戒のふたりに聞くことが出来
ると思っていたのだ。
どちらにするべきか・・・。
そんなの態度で二人で何かを企んでいる事はここにいる全員が知る事となる。
なかなか言い出せないにすかさず悟浄が肩に手を回す。

悟浄「じゃ、今日は邪魔者もいないみたいだから、当然俺の部屋にくるだろ?」

その当然はどこから来るのか・・・三蔵は銃を構え、は悟浄の喉元に剣を突きつける。
またほぼ同時だ。

悟浄「じゃ、どうやって決めるんだよ!?」
八戒「困りましたねぇ。」

が計画に乗った事に関して、八戒もの計画に乗るつもりだった。
しかし、はどちらと共にしたいのかが分からずに悩んでしまった。
悟空のように分かりやすければ良いのだが・・・。

八戒「で、はどうします?」

さりげなく本心を聞きだそうとする八戒。
そんな所に機嫌の悪そうな三蔵の声が聞こえた。

三蔵「俺とだ。野郎の寝顔なんざ見たくねぇ。」

ごもっともな意見で八戒も苦笑気味だ。
三蔵は一度も新聞から顔を上げずに答える。
八戒は心配そうにを見る。
も最初は驚いたが、の為に思い直しゆっくり頷く。
それを視界の端にいれると三蔵はコーヒーを口に運ぶ。
悟空はすでにの手を取り、寝室へと誘っている。

悟浄「おやおや、バカ猿がいっちょまえに色気ついてるよ。」
悟空「ばかって言うなよなエロ河童!!」
悟浄「あんだとぉ〜!?バカじゃなけりゃ脳味噌胃袋だ!!」

またいつものような喧嘩が始まる。
ただしいつもと違うのはを間にではなくを間にして・・・でのことだ。
の拳にだんだん力が入る。
しかし、が二人に制裁を施す前に、華麗なハリセンの音が響く渡る。

三蔵「煩せぇよ。」
悟空「怒られたじゃねぇか!この河童!!」
悟浄「なんだと猿!猿!!!」

こりずにまた引火。
次に三蔵は銃を取り出す。
カチャリ・・・と安全弁を取り外す。
その音に気付き二人は口を閉じる。
いまとなっては三蔵が二人に銃をぶっ飛ばす回数も減ってきた。
が必ず二人の側にいるからだ。

「・・・悟空、じゃ行く?」
悟空「うん!じゃ、みんなお休み〜!!」

有頂天でと二人で寝室に下がる。
その瞬間、三蔵と八戒から奇妙な冷気が発生する。
は二人を見て苦笑する。

(明日・・・悟空大丈夫かな・・・?)

そんな事を思う。
悟浄も珍しく早々に立ち去っていく。
そこには八戒と三蔵そしてだけが残った。
は居心地悪そうに、椅子に座り下を向いている。
八戒は机に地図を広げる。

八戒「、これから明日の打ち合わせをするので、先に部屋に戻っていいですよ。」

いつも通りの優しい笑顔に妖狐の戒の姿が重なる。
は頷くと静かに扉を占めた。
扉が完全に閉じ、また扉が開き閉まる音を確認するかのように三蔵は新聞からやっと顔をあげた。

三蔵「なんなんだ?あの二人。」
八戒「さぁ?何か企んでますけどね。まぁ、可愛らしいじゃないですか。」
三蔵「その割には瞳が笑ってないな。・・・そんなに心配か?ばか猿と一緒の部屋になってるのは。」
八戒「それは三蔵も同じ事ですよね」
三蔵「三蔵も・・・ねぇ。」

面白そうに三蔵はタバコに火を付ける。
八戒もこれから起こる事に静かに笑みを零した。












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一方、と同室になった悟空は、どうやって聞き出すか考えていた。
一緒の部屋になることだけで精一杯だった彼は、そこまで頭がまわりきれていない。
さすがは猿・・・と言う事だろうか。
それにみかねたは悟空の座っているベットの脇に腰を下ろす。

と何かあった?」

いつものような警戒した表情ではない。
悟空は驚き、を見つめた。
おそらくこれが本来のだと言うことはすぐにわかった。
姉のような優しい瞳。

悟空「なぁ、ってさ・・・。」

そこまで言って悟空は口を噤んだ。
好きな人はいないのか・・・?と言う質問はにとっては辛いことだろう。
どうしたら良いか考えた。
そして導きだされた答えは・・・。

悟空「は八戒と三蔵どっちが好き?」

あまりにもストレートな質問だった。
はあまり趣旨掴めていないのか、少し疑問まじりの表情になる。
悟空はいつも通りの笑顔でそれはなんなく交わす。

悟空「あ、もしどちらか二人のうちって言ったらさ!」

の思考はすぐに動き出した。
その答えによって導き出されるであろう事柄までも、すでに考えている。
はしばらく口を閉ざした。
最初は悟空がの事で何か悩み事でもあるのかと思っていたのだ。
まさか、自分の事とは思わず・・・。
どうしたものかと悟空の事を見る。
悟空は少年のような瞳でジッとを見ている。

「なんで二人なの?悟浄や悟空はいいの?」
悟空「あ・・・」

あからさまに「しまった」と言う顔をした悟空を見て、真意を掴む。
そして、これの疑問を抱いた張本人の顔が浮かぶ。
少し、からかってやるか・・・。
そんな事を思いながら、はニッコリと微笑む。

「みんなのうちって言ったら、答えは出るけどな。」
悟空「え!?本当に!?じゃ。みんなのうち誰?誰?」

かわいい・・・。
が悟空に惚れたのもわかるような気がした。
自分の好みとはまったく違う・・・むしろ正反対に位置する悟空。
いつも明るくて楽しくて笑顔が似合って・・・でも時々淋しそうな顔をする。
きっと過去に何かがあったのだろうとは思う。
でなければ、この年であんな表情を出せる訳でもなく。
そう、と重なる。
には自分が持っていない部分を沢山持っている。
そして、それを羨ましいと思う。
だから、と長い間友達としてやっていけるのだろう。
憧れ・・・そんな言葉で終わらせたくないが、それでも大事な人には変わりない。
決して失ってはいけない、失いたくない・・・
自分の我が儘にも笑って見ていてくれる。
はいつも「自分はちゃんに何も出来ない。」と何度か涙を流したことがあった。
でも、の中ではと言う存在自体で救われているのだ。
だからが付き合う恋人もしっかりした人でなくては認めたくなかった。










・・・父親の心境に近いのかもしれない。










でも、彼なら・・・悟空なら大丈夫。












こうしてが疑問に思った事を一緒に悩み、考えて答えを導き出そうとしてくれている。
一緒に道を歩んでいる証拠。
だから、嬉しい。
嬉しいのだが・・・やはり自分を試されているような気もしてあまりいい気ではない。
は再度悟空にニッコリ微笑んだ。














「悟浄・・・かな?」


















ガタガタガタ・・・ン!!!!



















悟空は予想と全然違う答えに驚き過ぎたのか、見事ベットから落ち、壁に激突した。
一体どういう驚き方なのか・・・。
は苦笑する。
しかしその大きな物音でいきなり部屋の扉が開かれた。
けたたましく扉を開けて入ると言うよりはむしろ蹴破る勢いだ。
は呆然として扉の前に少し息の上がった二人の男に視線を向ける。

八戒「、大丈夫ですかッ!?
「え?・・・・ああ、大丈夫よ。なんでもないから。」

未だ悟空は放心したままだ。
タバコを口にくわえながら、三蔵はを見つめ壁にいる悟空を見つめる。
三蔵は悟空の頭に足を置く。

三蔵「おい、バカ猿。何しやがった?
悟空「・・・。」

悟空は思い切っし同情の眼差しで三蔵を見上げる。
さすがの三蔵もその瞳にすこしあとずさる。
からクスクスと笑いがこみ上げてくる。
八戒は気遣いげにの隣りに来た。

八戒「悟空に何か・・・そのされたんですか?」

は八戒を見上げてニッコリと微笑む。

「された・・・かな?」

その台詞に八戒の顔が驚きのものにかわる。
それと同時に三蔵は懐から昇霊銃を取り出して、悟空に向ける。
悟空はそれにあわてる。
カチャリ・・・と安全弁がハズされる。

悟浄「なーにやってんのよ、みんなして。」

のほほんと現れた悟浄を見て、悟空は咄嗟にの事を見た。
はにっこりと微笑んで悟浄の方を見る。

悟空「・・・本当だ・・・。」
三蔵「?」

の脇に立ってことの真相聞くべく、話しかける悟浄。
そこから微動だにしなくなった悟空を不思議に見つめる三蔵。

悟空「悟浄・・・。」

悟空にしては珍しく、下を向く。

悟浄「あ?」
悟空「俺と部屋・・・代わって。」
悟浄「はぁ?」

はクスクスと笑みが堪えない。
その意見に咄嗟に反対する八戒と三蔵。
悟浄は女と部屋にとまれる嬉しさに終始ニヤケ顔。
やっとが部屋に顔を出した時には、全員が悟空の台詞で固まっている時だった。
三蔵に銃口をつきつけられいる悟空。
いつものように笑みを称えているが目が今まで見たことがない程笑っていない八戒。
の肩に手をかけてベットに座っている悟浄。
いつもなら即効拒否しているはずの人物が何事もなく手を肩に置かせている
そして、その状況をただジッと見つめている三蔵。
はどこに行っていいのかわからず、取りあえず扉の前で立ち尽くす。

三蔵「今なんて言いやがった、この猿。」
八戒「悟浄とを同じ部屋に・・・と聞こえましたが。」

の目が点になる。
一体何があったのだろうか?

悟空「俺、今日は八戒とがいい。」

そう呟くとゆらりと立ち上がる。

三蔵「待て、なんでお前が決めてんだよ。」
悟浄「まぁまぁ、ここはちゃんのご意見といきましょうか!」

全員がに視線が集まる。
それに答えるかのようには全員にニッコリと微笑む。

「悟浄が、いいわ。」

その台詞に今度はが固まる番だった。
いったい悟空と何があったのか。

八戒「、正気ですか!?あの悟浄ですよ!?」
悟浄「八戒・・・それってヒドくねぇ?」
八戒「日頃の行いの悪さです。(きっぱり)」

悟浄は苦笑を零す。
はそれでも何か楽しそうに悟空を見つめている。

ちゃん・・・部屋代わろうか?」

小さな声で言う。
三蔵は一瞬を見るが、の答えを待つ。
は首を横に振るだけ。
悟空は足元をふらつかせながら、八戒の部屋へと向かう。
はそんな悟空の体を支える。

悟浄「ほらほら、出て行った。ここは俺達の部屋なんだから。」
「その通りですよ。ちゃん、悟空おやすみなさい。」
「おやすみ、ちゃん。」

悟空は何も言わない。
は悟空を支えての部屋を後にした。
半ば強引に悟浄に部屋の外へと出された三蔵と八戒。
カチャリと小さく鍵をしめる音が聞こえる。

三蔵「チッ!」
八戒「大丈夫でしょうか・・・。」
三蔵「あいつの事だ、何かあれば蹴りの一発や二発かますだろう。」

そう言いながら三蔵は元いた部屋に戻る。
八戒はしばらく扉の前に立つ。

八戒「、何かあったら必ず声を出してくださいね。」

八戒の心配そうな声が部屋に響く。
はにこにこしながら返事をする。
しばらくすると、悟浄は近くにあった椅子に腰を降ろしてタバコに火を付ける。

悟浄「あんまり苛めたら駄目だよ。あのお猿ちゃんは単純なんだから。」

一気に煙を吐き出す。
はその仕草をしばし見とれていた。
その視線に悟浄も気付く。

悟浄「タバコは駄目か?」
「いいえ、大丈夫ですよ。悟浄さんの匂いはある人思い出させてくれます。」
悟浄「ある人?」

はニッコリと笑う。
初めて見る顔だな・・と心の中で悟浄は呟いた。
女性のような少女のような笑み。
悟浄はから視線をそらす。

悟浄「でもまぁ、吸ってる銘柄が違うからな。多少違うと思うぜ。」
「(クスクス)そうですね。」
悟浄「今日の部屋割りは、以外だったな。ちゃんはてっきり奴とかと思っていたんだ
   がな。」
「・・・無理ですねぇ。」

まだ笑みが堪えない
それを見て悟浄はの隣りに座り直す。
ギシリ・・・とベットが軋む。

悟浄「で?悟空はなんだって?」
「ぷ!」

悟空の名前を持ち出されて、とうとうは軽快に笑い始めた。
どうやら相当我慢していたらしい。
そんな楽しそうな声が隣りから聞こえてくる為に明日の行程の話し合いをしていた三蔵達
はまったく話が進まないでいる。
しかも珍しくの笑い声。
三蔵と八戒の顔に青筋が立つ。
ひとしきり笑い終えると、は悟浄を見た。
悟浄は優しく見ていた。

「何?」
悟浄「いや、初めて笑ったなと思ってさ。」
「人間なんだから、笑いもしますよ。悟浄には少し迷惑かけるかな・・・?これから」
悟浄「女にかけられる迷惑なら喜んで。で、どんな?」
「実はね・・・。」

は悟浄に一通り悟空との経過を話した。
それを聞いて悟浄も思っきり笑い出す。
二人の笑い声が三蔵の部屋とと悟空の部屋にまで聞こえる。
終始悟空は下を向いたままだった。
は心配そうに悟空を見つめる。

「悟空?」
悟空「俺・・・気付かなかった。」
「?」
悟空「・・・は・・・は・・・。」
ちゃんが、どうしたの?あ!もしかして、もう聞いたの!?」

悟空は小さく頷く。
興味しんしんには悟空の答えを待つ。
悟空は一度を見てから、溜め息を零す。
そんな態度に不思議に思う



























悟空「は・・・悟浄の事・・・好きなんだ。」































「へ!?」
















まんまとの作戦にのった悟空である。
そして、までもがの作戦に乗ってしまうのは言うまでもない。

「だって、本当にそうなの!?八戒さんや三蔵さんは!?」
悟空「わからない。」

も驚きを隠せない。
悟空はの事を見つめる。

悟空「でも、悟浄がさっき部屋に来た時はすごく嬉しそうだった。八戒や三蔵が来た時は
「またか」って感じだったんだけど・・・悟浄の時は笑ってた。」

は驚きのあまり声が出ずに悟空の話しを聞いていた。
あまりにも唐突な名前だったからだ。
・・・考えてみればいつも自分を巡って争いが起きるとはすぐに怒り悟空と悟浄を殴
りつける。
でも最初に殴るのは悟空で悟浄は余韻で殴ってるようにも思える。
自分に言い寄ってくる悟浄を見ると、はすぐに刃物を出す。
の中で今までのの行動を考えなおしてみた。
そう。
は村にいた頃も男友達が多かった。
男女の仲にはどこかしら垣根のようなものがあるのだが、の場合はそれがなかった。
誰もがと仲良くしていた。
親友のように・・・。
それを思い浮かべてハッとする。
がいつも悟浄にやる事は愛情の裏返し・・・。
の中で答えが導き出された。

「八戒・・・かわいそう・・・。」
八戒「僕がなんですか?
「へ!?あ・・・なんでもないです。」
八戒「先程三蔵も部屋に戻られましたから、早く行った方がいいですよ。」

八戒にそう言われて、は慌てて部屋を後にする。
の気持ちが分かってしまった以上三蔵に聞いても仕方が無いことだ。
はふと足が止まった。
の部屋の前で三蔵がただづんでいた。
はそれを見つめた。
視線に気付き三蔵がゆっくりとを見る。

三蔵「なんだ?」
「いや・・・部屋に戻ろうかと思って。」
三蔵「そうか。」

そう言うと三蔵も部屋へと向かう。
も三蔵の後に続く。
ふとの部屋からは何やらひそひそと声が聞こえると思うと、のクスクスと笑う声
と悟浄の柔らかい声が聞こえてくる。
確かには楽しそうだ。
は下を向き部屋に入る。
三蔵はベットに腰をかけて上着を脱ぐ。
それには慌てて後ろ向く。

三蔵「・・・。」

三蔵は軽く溜め息をつくと黙ってベットへと潜る。
先程まではの事をどう思ってるから聞くと言う使命があった為に何も思わなかった
が、今となっては聞いても仕方がない。
は三蔵の隣りのベットに座る。

「はぁ。」

が視線を上げると、知らないうちに三蔵がの方を向いていた。
その色っぽさに顔が赤くなる。
少し掠れた感じの声。
金髪から垣間見る紫色の瞳。

三蔵「俺に何か話があったんだろ?」

三蔵のその台詞には驚く。
まさか自分の事を気に掛けているとは思っていなかったからだ。
は下を向く。
それでも三蔵は黙ってを見つめる。
しばらく沈黙が流れる。
三蔵はベットから起きあがり机の上のタバコに手が伸びる。
・・・が一度箱を手に取るが、また箱を置く。
の話す気配が無いことにしびれを切らしたのか、三蔵はと向かいあうような形で
座っていた。
頬杖をついてをじっと見つめる。
は沈黙の威圧に堪えきれなく、やっと話し始めた。

「あの、怒らないでくださいね。」
三蔵「・・・早くしろ。」
「えっと・・・ちゃんの事、どう思ってますか?」
三蔵「煩せぇ女。」

三蔵の即答にはしばし目が点。

三蔵「それだけか?」
「え・・・あの、そう言う事ではなくて・・・えっと・・・。」

どう話せば気持ちが伝わるのか、の頭はふる回転しながら言葉を繋ぐ。
そんなを見て、悟空と重なる。
三蔵は気付かれない程度に口元を上げる。
の間にある深い情。
決して何者にも立ち入ることの出来ない絆。
そんな絆を少し羨ましいと思う三蔵。
決して人を信用しない三蔵の中では純粋な悟空やは羨ましい存在だ。
そして、自分と同じ考えを持つを哀れと思う。
自分以外にこんな気持ちを持つ者が増えて欲しくないのが本音。
だからこそ、や悟空にはそうなってほしくない。
それはおそらくあの女と同じ考えだろう。
三蔵はを見つめた。
は顔を赤らめて下を向く。

三蔵「おい、いい加減その敬語はやめろ。」
「え?でも、法師様の最高の位を・・・。」
三蔵「お前は寺の者じゃないだろ?うざいんだよ。」
「す・・・すみません。」

シュンと下を向く所なんかは悟空が怒られた直後と似ている。
三蔵は2・3度の頭を撫でる。
少し乱暴だが、不器用ななりの愛情表現。

「あの、三蔵さん。」
三蔵「「さん」はいらん。」
「えっと、三蔵。ちゃんの事なんだけど。」
三蔵「さっき答えただろ?煩い女。」
「それだけ・・・?」








































三蔵「・・・弱い女。
































ぽそっ・・・と呟くと、三蔵は逃げるようにフトンを頭まで被った。
「弱い女。」三蔵はちゃんとを見ている事には嬉しかった。
それが何よりの答えだったから。
はニッコリと微笑んでベットに入る。
ふと机の上にあるタバコに視線を送る。

「三蔵、タバコ吸わないの?」
三蔵「あ?」
「だって、ちゃんが言ってたよ。三蔵は眠る前にタバコを思いっきり楽しむって。
そんな時はとってもと言っていい程いつも見る閻魔顔でなくて穏やか・・・。」

は言葉を続けながら、三蔵の背中から怒りのオーラを感じとった。
またやってしまった。
は咄嗟に口を抑えるが時すでに遅し・・・。

三蔵「あいつ、明日殺す。」

「え!?いや、そうじゃなくて!ちゃんがその時の三蔵の顔を見てるのがとっても
安心して『好きだ』って言ってたか・・・ら・・・!!」

慌てていたとは言え、その台詞の後にから「絶対に内緒だよ」と言われていたことを
思い出す。
再度自分の口に手を当てる。
三蔵は顔だけに向けて、ニヤリと口元をあげる。
その表情にの背中に悪寒が走る。
三蔵はすぐにまた顔をそらす。
はこの状況をどうしたものか内心涙を流す。
どちらに転んでも殺されるのは確実である。
自分で巻いた種とは言え・・・。

三蔵「今の言葉は、本当か?」
「え・・・うん。」
三蔵「・・・成る程。どうりで俺の所で爆睡出来るわけか。」
「へ!?」

三蔵の言葉には驚き聞き返すが、三蔵からの返事はない。
これ以上声をかけるとそのうちハリセンか銃を向けられる気がしたのか、は大人しく
ベットに入った。
そして、三蔵の言葉を頭の中で考えた。
その所為で一睡も出来なかった事は言うまでもない。
三蔵の口元は少し上がっていた事に気付かずに・・・。






***************************************

「おはようございま〜す。」
悟浄「はよ〜。」

眠そうな二人が朝食を取りに部屋に入ってきた。
八戒と三蔵の空気は張りつめる。
はそんな状況におろおろしながらも悟空の事を見る。
悟空はくったくの無い笑顔を向ける。

悟空「気にしない、気にしない!」
「う・・・ん。」
八戒「おや?の目の下にクマが出来てますね。大丈夫ですか?」
「え!?」

あわてては顔を隠す。
悟空もあわてての顔を見ようとするが、が手で顔を覆うのが少し早かった為にク
マを見る事が出来ない。

悟空「三〜蔵〜!!!!!!」

怒りに震える悟空を、三蔵は朝刊から少し視線を上げてニヤリと笑みを出すだけ。
それの真意がなんなのか分からず、悟空はキョトンとする。
はそんな三蔵とを見てニッコリと微笑む。

三蔵「、早く席に座れ。」
「うん。」

そう言うと三蔵の隣りにちゃっかり席につくを見て八戒も驚く。
悟空は慌てての脇に座る。
が、の事を見る。
いつも朝食の時はの隣りにはが座る。
は何も言わずにニッコリ微笑む。

悟空「?」
悟浄「ほら。ここに来いよ。」
「うん。」

と悟浄の言葉遣いの変化にもと悟空は驚く。
八戒はと三蔵を交互に見てから、大体の事態を把握したのか苦笑が広がる。
がジッとの事を見ている事に気付いたのか、はニッコリとに微笑みを送
るだけだ。
八戒が全ての朝食を運び終わると、一斉に食事の開始である。
いつもなら、自分の取り分は自分で取る・・・と言うのが常なのだが、悟浄とは違っ
ていた。
が悟浄の小皿に適当に盛りつけている。
悟浄はそれをタバコに火はつけずにくわえながら見つめる。

「はい、悟浄。」
悟浄「サンキュ。さて、喰うか!!」

は昨日言った悟空の言葉を思い出す。
そして、むかし一緒に夕食を塊とと3人で取っていた時の事を思いだした。
戒の小皿に適当に盛りつけるの姿。
はチラリと三蔵の事を見る。
三蔵は何も気に止めることなく食事を進める。
悟空は食べ物の前で悩みを忘れたのか、どんどん食事が進むがは箸が止まったまんま
だった。
それに気付いた三蔵はいくつか皿の上に食べ物を乗せる。

「え、ありがとう。」
三蔵「とっとと食え。すぐに出発だ。」
「うん。」

いつもなら悟浄と悟空の食事のバトルが始まろうと言う時間。
しかし、いつもような喧噪にはならかった。
それはいつのまにか悟浄は食事を終えて、すでにと話しだしていたからだ。
悟空はの方を向くと、も空いたお皿を八戒と一緒に片づけている所だった。
三蔵は相変わらず新聞を読んでいる。
食べ物を口に運びながら悟浄とを見る。
やはり雰囲気は違う。
どことなくが優しく笑ってるような気がする。
悟浄もいつものようにに絡んでこない。

「どうしたの?悟空。」
悟空「なんか、みんな変だな。」

その台詞にいち早く反応したのは悟浄だった。
悟空の頭を思い切り殴りつける。

悟空「痛てぇな!!なにすんだよ悟浄!!」
悟浄「変なのはてめぇひとりなんだよ!!ばか猿!!」
悟空「バカって言うなって言ってるんだろ!!」
悟浄「ばかにバカっていって何が悪いんだよ!!」
悟空「なんだと!このエロ河童!!」

いつも通りの喧噪。
三蔵の顔に青筋が立つ。
洗い物が終わった八戒が三蔵の脇に立つ。

八戒「いいんですか?悟空と悩んでますよ?」
三蔵「・・・しるか。ま、もう少しあいつにつきあってやるだけだ。」
八戒「珍しいですね。三蔵がにつきあうなんて。」
三蔵「たまにはな。」
八戒「何か良いことでもあったんですか?」

それには答えずに、かわりに口元を上がる。
それを見て八戒も苦笑する。
ふとと視線が重なる。
は喧噪の二人の間をぬって八戒と三蔵の脇に立つ。

八戒「大丈夫でしたか?」
「(クスクス)私をためそうなんて10年早いのよ。」
三蔵「あんまりを苛めるな。」
八戒「おや?三蔵らしからぬ台詞ですね。」
「本当にね。」

にはお見通しなのか。
三蔵は溜め息を着く。
三蔵とに踊らされているとは全く気付いていない悟空と

「二人とも、そろそろやめないと〜。」
悟浄「ちゃん!俺の身を心配してくれるの!?」
悟空「だ!!!は・な・れ・ろぉ!!!!!!

を間にまた新たな喧嘩の勃発。
そんな事ではふとの事を見る。
そして悟浄の事を見る。

「悟浄さん・・・マズイですよ。」
悟浄「ん?〜!!」

悟浄は余裕にに手などを振る。
もこれまた苦笑混じりに悟浄に手をふる。
そんな二人を新聞越にチラリと見た三蔵は溜め息を着く。

三蔵「やりすぎなんだよ。おめぇら。」
「あら、でも気付いてないみたいよ。あの二人。」
八戒「ははは。まさかがこんな事するとは思いませんでした。」
「そう?ってたまにからかうと面白いのよ?」
三蔵「ハァ、お前なぁ。いい加減にしとけよ・・・。おら!バカとも!!行くぞ!!!」

新聞を折り畳み、いきなり立ち上がる三蔵。
その言葉に悟浄と悟空のつかみ合いが止まる。
も三蔵とを見る。
全員が部屋を出るのを確かめると、はいつもの癖で忘れ物がないか確認をする。
すでに八戒はジープにエンジンをかけて待っている。
ジープの前ではまだ喧嘩の続きをしている悟空と悟浄の声が聞こえる。
困ったようなの声。
は全ての部屋を回り、最後に三蔵達が寝ていた部屋に入った。
ふと机の上のタバコに目が止まる。
マルボロのタバコがほとんど手を付けていない状態で置かれていた。
はそっとタバコを手に取る。

「はい。」

後ろに気配を感じてはタバコの箱を背中越に見せる。
三蔵は無言でに近付き、タバコを手に取るとすぐに一本つける。
はそんな三蔵を見上げた。

「本数減ってないわね。」
三蔵「ああ。」
「ありがとう。約束護ってくれて。」
三蔵「・・・ふん。」

と三蔵の約束。
三蔵はふといつぞやの一件を思いだした。
と同じ部屋に泊まった時。
は呟くよう言った。

ちゃんの前ではタバコは出来るだけ吸わないで。」
三蔵「うるせぇな。俺がいつタバコ吸おうが勝手だろが。」
「そう。それは三蔵の勝手。でも、ちゃんと同室になった場合は駄目。」

三蔵はが寝ているベットに腰をかける。
はにっこりと微笑む。

三蔵「ヤキモチか?」
「・・・肺ガンになるから。三蔵は肺ガンになろが私の知ったことではないけど、
ちゃんがこの世からいなくなるのは駄目なの。私が許さない。」
三蔵「ふん。」
「あら、ヤキモチ?」
三蔵「しるか。」

それからと三蔵はしばらく口を聞かなくなった。
お互いの照れなのか・・・どうなのか・・・?
まだ互いに特別な感情が芽生えていると気付くのは先の事。
その感情が単なる「情」ではなく「愛情」であると言う事・・・。
互いが大切なかけがえのない人。
意地っ張りな二人。
今はまだ罪の共通・・・それだけが二人を繋ぐ絆・・・。
三蔵はそんな事を思いだし、を面白そうに見つめる。

「何?」
三蔵「普段は閻魔顔で悪かったな。」

その台詞には冷や汗を流す。
言ったなちゃん・・・そう心で呟くが、三蔵に知られてしまったからには仕方がない。
が話してしまう事も前提に言っていた所もあるから。
三蔵はそんなを見つめる。

三蔵「そう言うことは本人に直接言え。」
「あら?そう言う事ってなんの事?」
三蔵「良い根性してんじぇねぇか。」
「どうも。」

はフッと笑みを零すと部屋を後にする。
三蔵も灰皿にタバコを押しつけて部屋を後にする。
部屋の扉をしめる時、三蔵は一度部屋の中を見つめる。
まだ煙の余韻の残るタバコが、静かに二人を見送っていた。























パタン・・・。


















三蔵は静かに扉を締めた。


後書き 〜 言い訳 〜
 
 
ここまで読んで下さり
心より深くお礼申し上げます。
 
 
これにこりず、次章も読んで頂けますと幸いです。
 
文章表現・誤字脱字などございましたら
深くお詫び申し上げます。
 
更新 2007.12.03
再掲載 2010.10.28
制作/吹 雪 冬 牙


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