赤と青の絆
〜 おまけ 〜
寺内でどんちゃん騒ぎをしている最中
ちゃっかりぼたんの隣の席を陣取ってる蔵馬。
ぼたんはふと、傍らに置いてあるバラを手にとった。
「蔵馬、これって蔵馬がくれたんだろ?」
「さぁ、どうでしょう?」
「でもさ、これくれたの夜中って事だろ?私だったから良かったものの、夜中に女
の子の部屋に侵入したらダメだよ?」
「・・・そ・・・そうですね・・・(ガックリ)」
「え?どうしたのさ。」
「(はぁ)いえ・・・なんでもありません。これから気をつけます。」
それにしても・・・
ぼたんはふと昨日見た夢を思い出す。
桜の咲き乱れる場所。
桜吹雪の中、ぼたんはひとり佇んでいた。
誰かを待ってるかのように。
大きな、大きな桜の木。
じっと見上げていると、誰かがきた気配。
ゆっくりと振り返るとそこには、優しい笑みを称えた蔵馬の姿。
「蔵馬!」
ぼたんは蔵馬の顔を見るなり、蔵馬にかけより、抱きついた。
蔵馬の香りがする。
ぼたんは少しを目をとじて、蔵馬の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
「ぼたん。」
名前を呼ばれて、ぼたんが顔をあげると、今にも泣き出しそうな表情の蔵馬の顔。
ぼたんはそんな蔵馬の顔に手を伸ばした。
「やっと・・・会えたねぇ・・・」
瞬間、蔵馬に強く抱きしめられたぼたん。
ぼたんも蔵馬に抱きしめられる腕が心地よく、目をとじた。
蔵馬の口元がぼたんの耳もとへとよせられた。
それは小さく・・・
とても小さい声だったけど・・・
何かと葛藤しているような、それでも強い意志を持った言葉。
「ぼたん。誰よりも、愛してます。」
直後、蔵馬の柔らかい唇が、そっと私の唇に一瞬触れた。
驚き目を見開くぼたんに、蔵馬は今まで見た事のない程真剣な眼差しでみつめた。
そして、再び蔵馬の唇がぼたんの唇へと乗せられた。
それは先程の刹那的な時間でなく。
ゆっくりと・・・
優しく・・・
包み込むような・・・
そんな口づけ・・・。
蔵馬の気持ちがそのまま流れ込むような・・・
そんな・・・情熱的な口づけ・・・。
夢の中を思い出し、思わずぼたんの視線が蔵馬の唇へといってしまった。
そんなぼたんの視線に気が付いて、蔵馬は不思議そうに首をかしげた。
「ん?なんですか?」
「い、いや・・・なんでもないさね。」
「?」
慌てて手に持ったグラスを飲み干すぼたん。
そんなぼたんを不思議そうに見つめる蔵馬。
「うぉーい螢子!!つまみがねぇーぞ!!」
「それで終わりよ!ばか幽助!!」
「んだとー!!つまみがなけりゃー酒が飲めねーだろ!!」
螢子ちゃんと幽助のちょっと早い夫婦喧嘩(?)を見て、ぼたんは苦笑して席を立ち上がった。
「いいよ。私が何か作ってくるよ。ばーちゃん、冷蔵庫の物使っていい?」
「好きにしな。」
よいしょ・・・とぼたんは席を立ち上がった。
だが、ぼたんが思ってる以上に酒が回っていたらしく、ぼたんはよろめいてしまった。
咄嗟に席を立ち上がり、ぼたんをさせる蔵馬。
「おっと、ごめんよー蔵馬。」
「まったく、そんなんで大丈夫なんですか?俺も一緒に行きますよ。」
「平気だよー。」
ぼたんの言葉におかまいないしに、蔵馬はぼたんを支えて道場を出ようとした。
「お!ご両人!!二人してイケねー事すんじゃねーぞ!!」
「な!?」
幽助の冷やかしに、顔を真っ赤にするぼたん。
「ここじゃ無理ですよ。」
さわやかな笑顔をむけつつ、スゴイ事言う蔵馬。
蔵馬とぼたんが去った道場は、一気に静寂に包まれた。
まさか、蔵馬がそんな冗談を・・・・
互いが互いの顔を見合わせた。
そんな中、静かに酒を飲む男が一人。
「・・・。」
あの夜。
蔵馬が静かにぼたんに呟いた言葉が、頭から離れずにいた。
『 ぼたん。誰よりも、愛してます。 』
軽い口づけと共に、送った言霊。
それを知るのは、蔵馬と飛影のみ。
「・・・フン。くだらん(微笑)」
終わり
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紳士淑女の皆様、こんばんは。
またはこんにちは吹雪冬牙です。
リクエスト小説、「赤と青の絆」はいかがだったでしょうか?
え?まったく絆と関係ない。
はい、それについてはふかーく反省しております。
まったく絆とは関係ねーじゃんと、出来上がってから思いました。
冬牙はタイトルをつけるのが苦手で、見事にこの場で
出てしまいました。
どうもすみません m(_ _)m
さて、この時期はまだ蔵馬とぼたんは片思いの最中と言う
設定にさせて頂きました。
片思いって言うか、蔵馬・・・寝込み襲うなよ。
まぁ盗賊時代のなごりって事で・・・(^^;)
ここまで読んで下さった皆様
本当にありがとうございます。
誤字・脱字などございましたら、
深くお詫び申し上げます。
マスター冬牙